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Impacted Wisdom Teeth
今まで生きてきた人生の中でこんなにも自分の顔を直視するのに耐えられなかったことはありませんでした。

それはというと・・・



実は、つい先日「智歯(wisdom teeth)」を抜きました。そうですいわゆるあの「親知らず」と呼ばれているものです。ただひとくちに親知らずといってもいろいろありまして、今回抜歯したのは「埋伏智歯(impacted wisdom teeth)」と呼ばれている顎の中に埋っている状態のもの。このような歯を抜歯するためにはもちろん歯茎を切開して取り出すわけですが、ときには歯槽骨(顎の歯が植わっている骨)を削ったりして抜歯したりするそうです。

私の場合、下顎にある、一方が完全に水平(横向き)で埋まっている状態の水平埋伏智歯と呼ばれる親知らず(horizontal impaction)と、もう一方が半埋伏状態で隣の歯に寄りかかっている親知らず(angular impaction)の合計2本。

基本的に歯医者や皮膚科、それに美容院はすべて日本へ一時帰国したときにまとめて問題を解決しているのだけれど、やっぱりせっかくアメリカに住んでいるのだから「異文化体験」をしてみたいというわけの分からない好奇心がむくむくと。

ありがたいことにアメリカにきてからまだ1度もこれといった病気にもならずアメリカの病院にお世話になったことはありませんでした。

しかも在米者の間でちらほらと聞こえてくる例の「日本の歯科医療はアメリカより20~30年遅れている」といったフレーズ。この機会に自分の目で確かめてみよう!と思ったわけです。

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Impacted Wisdom Teeth_a0027492_18202971.jpgそこでさっそく予約を入れたのが「UCLA School of Dentistry」。あの名門大学UCLAの歯学部です。歯科医療の先進国といわれているアメリカで国をあげて教育や研究支援に取り組んでいる言わずと知れた有名校(らしい)。場所はWestwoodのキャンパス、CHS(Center for the Health Sciences)の敷地の一角に歯学部がありました。

治療の内容によって担当科が違うので調べてから電話。親知らずなどの「抜歯」に関しては「General Clinic(一般歯科)」ではなく「Oral and Maxillofacial Surgery(歯科口腔外科)」で。さっそく電話で「Impacted Wisdom Teethを抜いて欲しい」旨を伝えて予約を取ります。そして予約がとれたのが電話してから10日後ぐらいの日付。なかなか混んでいるようです。

基本的に最初は「Consultation」のみ。(簡単な治療などはその日にやってくれる場合もあるそうです。) まずは受付でどっさりと渡された書類(既往症などのチェックや誓約書?みたいなもの)を流し読みし、ガシガシと次々にサインしていきます。その後待合室でドキドキしながら待っていると、たとたどしい発音で私の名前が呼ばれました。

診療室から出てきたのは若くて肌のきれいなかわいらしいアジア系の女の子。あきらかに「Student Dentist」です。正直ちょっぴり不安に思いつつもお互い挨拶をかわし中へ入ります。

診療室は診療台の椅子ごとに低めのパーティションで区切ってあり、広々とした雰囲気。さっそく診療台に横たわり、歯の状態を見ますが何せ「埋伏状態」なので目視で分かるはずもありません。下顎に2本親知らずが埋まっていることを伝えた後は伝票みたいなものを持って1Fのレントゲン室へ。

薄暗~い室内で顔の前をレントゲンの機械がぐるりと回って放射線を浴びたあと10分くらいで現像出来上がり。金属を詰めた歯の治療跡がありありと写っていて自分自身のであるにもかかわらずなまなましくも感じるレントゲン写真を持ってB1Fにある診療室に戻ります。

レントゲンに写った親知らずの状態を見ながら説明に入ります。顎と歯の間にうっすらと見える白い線を指差しながらかなり力説されたのが、どうやら歯を抜く際に、歯の根がこの白い細長い線にみえる神経に近いと神経が傷ついて唇や顎、歯、歯茎、舌が「麻痺」する事があるとのこと。しかもその麻痺はごくまれに「永遠」に続く可能性もあるというではありませんかー。

「ひい~"Forever"だってよ~(泣)」とその単語が頭の中でぐるぐると駆け巡り、思わずビビッてしまったのが表情にでていたのか、そのStudent Dentistが「ただ確率的は0.00・・・%でゼロに近いし、あなたの場合は神経から離れているから多分OKでしょう」とフォロー?をすかさずいれてくれました。

というわけで腹をくくって治療に同意するサインをし(ここでまたサインです)、そして健康状態や既往症、アレルギーなどの確認。最後に手術時の麻酔方法を「General Anesthesia(全身麻酔)」か「Local anesthesia (局部麻酔)」どちらかを選択して伝えます。

ただ私はこのときこれらの単語を知らなかったので、どちらがどちらなのかよく分からずそのときとっさに口から出た言葉が「・・・どっぷり寝むらせちゃってください」。そんなふうに伝えてしまいましたがきちんと通じたみたいです・・・。

ちなみに「麻酔」を辞書で引くと「anesthesia」と出てきますが、実際麻酔をするときに使われることはあまりなく「numb」という単語を使うそうです。これは他に「しびれた・感覚のない・麻痺した」といった意味もいろいろあるみたいです。

さらに歯科局部麻酔の場合、現在では「Novocaine(ノボケイン)」という麻酔薬を使用することが主流らしく、この薬品名を使って「麻酔をします」と表現することがあるそうです。おもしろいですね。

Consultationが終わって受付に戻り、まず受付で支払いを済ませます。ConsultationとX-rayを含め計$133.00。そして手術日の予約を入れてもらいます。予約日はなんと1ヶ月以上先とのこと。「うそ・・・1ヶ月待ちって・・・ありえない・・・」とウンザリしてしまったのでした。

さらに「手術当日は必ず付き添いが必要でもし付添い人がいなかった場合は手術はキャンセルになります」といった同意書にサイン(またここでもサイン)させられ、術前後の注意点をまとめたパンフレットを渡されます。受付のお姉さんに「前日はNo food, No drink!」と強く念を押されましたが、今この場で言われても1ヶ月先もなのに忘れちゃうよなあというツッコミはなきにしもあらず・・・。

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Impacted Wisdom Teeth_a0027492_22372423.jpgそしてとうとう手術当日。

前夜から何も食べれず、そして水さえも飲めずかなりツライったらありゃしないです。でも全身麻酔の場合予め胃の中を空っぽにしておくことが大切で、万が一誤嚥などの事故にでもなったらそちらのほうが怖いので、何度も冷たい水でうがいをしたりして喉の渇きをごまかしました。

もちろんこの日は付き添いが必要なので、相方の車で送ってもらうことに。キャンパスに到着し駐車場($8/day)に車を止めて受付に向かいます。受付で「治療費は前払いでお願いね」といわれ治療代計$430.00のCheckを切り、緊張しつつも待合室で呼ばれるのを待ちます。

ちなみにこの430ドルという金額ですが、1年前に日本で上顎の親知らずを2本抜いたときに約3~4万円ほどかかったので、一般的に医療費が高いといわているアメリカなんですが、金額的にはさほど変わらずちょっとびっくりです。

しばらくして登場したのが、前回診てくれたStudent Dentistの女の子ではなく、30代後半ぐらいの(もしかしたらもっと若いのだろうけどどうしても老けてみえる・・・)背の高いがっしりとした体格の男性。挨拶と自己紹介しつつ握手をがっちりと交わします。握手かわしちゃうあたりはやはりアメリカらしいなと。

ネームバッジをちらりとみると「Resident Dentist」の文字が。ちょっとだけホッとする私。ここでは名前の頭文字をとってG先生と呼ぶことにしましょうか。

診療室に入りもう一度レントゲンの写真をみながら手術する内容の確認。さらに再度「神経に近いので麻痺する」というリスクの説明。そしてここでもまたもや書類にサイン。

サインばかりさせられるので、何かあった場合自分の立場が弱くなったような感じ(実際弱いんだと思うけど)がして気が滅入りっぱなし。

「薬のアレルギーとかないよね?」と再度尋ねられ、「問題ありません」と答えると「OK!じゃあ始めようか!」となんとも明るいトーンの一声で始まりました。

座っていた椅子のシートが倒され横になり、私の腕に血圧計、指先にはパルスオキシメーターを挟んで脈をとり、胸元に心電図のパットをつけはじめるG先生。数値を確認して「問題ないよ。ばっちりだね!」と微笑みます。喉のあたりに聴診器を小さくしたようなものをおかれ呼吸のチェックも。

すぐ麻酔を打たれて先生たちがずらりと揃って始まるのかと思いきや、器具をがちゃがちゃとそろえたり、薬品を用意したりとすべてG先生1人でこなすあたり日本とはちょっと違うような気が。日本だと助手みたいなポジションの人が数人ついてサポートするような気が・・・。

しかもこんなふうにいろいろ揃えたりしているわりには、教授や他のResidentたちと会話をかわしながらの~んびり準備しているので「アメリカらしいなあ」と思いつつ、わけのわからないごっつい器具などが私の眼前でばしばし用意されていくのを見るにつれて緊張が高まってきてしまいました。自分の顔が何気にひきつっているのが分かります。

そんな落ち着かなさそうな私をみて「大丈夫だよ」と何度も声をかけてくれるG先生。点滴を打つために右腕の静脈に針を刺そうとするのですが、私の場合血管が細くて分かりにくいのか「う~ん」と困ったようなイヤな顔をされたことが昔からたびたびありまして、おなじくG先生もとまどいを隠し切れないご様子。

「刺しているのを見ないほうが痛くないよ。見ないで~」と言われたのですが、ぶすっと刺された瞬間、まじまじと見つめてしまいました。この刺す瞬間って鼻毛を抜くことなんかに比べたらなんてことのない軽い痛みだと思うのですが・・・。

G先生、針を刺すやいなやムニムニッと皮膚の下で針を動かしたので、一瞬「おや?もしかして刺し間違えた?」という気がしたのですが、ちゃんとうまくいったようで「ほらもう終わったよ!痛くなかったでしょ~!言ったとおりちょっとひねっただけでしょ~」とおっしゃる。なんだかまるで自分が注射嫌いの小さい子供のような気分になってしまいました。

ここでズボッと鼻の穴にス~とする空気がかすかに出ているようなチューブを入れられ、点滴がポタポタと始まりました。すると目の前に太いホースのようなものがぶらり。その先にはこれまたものすっごいごっついドリルのような機械がついています。

それで私の緊張はピークに。

足ががたがたと震え始め、点滴の液体が入った袋ををつるしている台がカタカタ・・・と音をたてて揺れています。椅子とつながった小さなテーブルがこの私の震えのせいでカタカタと揺れてその上に並べられている器具もカチャカチャと動く音がするほど。「リラックスして~」と言われれば言われるほど緊張のあまり激しく震える私の体。・・・本当に小心者です。

「な、なんでこんなに時間がかかるんだ~。は、はやく私に麻酔を打ってくれ~!眠らせてくれ~!」と心の中で叫んでいる私の目にはうっすらと涙が浮かんでいたと思います。・・・本当に臆病者です。

G先生が誰かに「ドラッグもってきて~」と頼む声が聞こえました。「今から麻酔をかけるからね~。体重はいくつなの?」とG先生が質問。パウンドでの自分の体重がわからないというと「キログラムのほうが助かる」との答え。体重を伝えてここでやっと麻酔の登場。ここまでたどりつくのに多分20~30分はゆうにかかっていたように思えます。麻酔というのは患者の意識をとるだけでなく、手術というストレスから患者を守ることが最大の目的ともいわれているのでもう少し配慮があってもよかったのになあ・・・。

点滴のチューブをはずし、そこから注射器で麻酔を。いわゆる静脈麻酔と呼ばれるものですね。

ただ、麻酔を入れた瞬間に「ガクッ」と深い眠りに落ちるのかと思いきや、しばらく意識はそのまま。酒飲みは麻酔にかかりにくいのでしょうか。G先生に「全然眠たくならないよ~」と訴えると、「Sleepじゃなくて"Drunk(酩酊)"の状態になるんだよ」とのこと。

「へえ~Drunkかあ。酔っ払うのか私~。うわははは~。」とニヤニヤしながらそうつぶやいていた私は端からみると相当不気味だったと思います。というかその時点ですでに麻酔が効いて酔っ払いの状態になっていたのだなと思います。

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はて?
G先生とそんな会話を交わしたあたりからパタリと記憶がありません。

「目覚めたら手術は終わっていた」というシチュエーションが理想的なんですが、世の中そううまくはいかないようでして。

鈍い痛みに気付いて目を覚ました私は、抜歯が困難といわれている水平に埋まった右側の歯で悪戦苦闘しているG先生とは別の先生の姿がぼんやりと目にうつりました。ですが意識が混濁していて、目線が思うように定まらず当然その先生が誰だったのか最後まで分からずじまい。もしかしたら教授だったのかな・・・。

というわけで、どうやら途中で麻酔が切れてしまったようです。

とにかくそれはそれはもうものすごい痛みだったのですが、まだ意識はボーーーッとしたまま。朦朧としつつもその痛みには耐えられず、「m・・・medication, please・・・!」とロレツのまわっていない状態で何度も訴えた私。あえて乱暴に直訳すると「ヤクを打ってくれ!た、頼む~!」ですねこれ。

「無意識」に、しかも「英語」で、さらに「medication」という単語を使っていた自分に驚きなのですよ。アメリカに来て3年も経つと言うのに英語が上達したという気がまったくないので。というかmedicationなんていう単語、いったいいつどこで覚えたのだろう・・・。

そしてとうとう痛みとの戦いに敗れしくしくとべそをかきだす私。

どうやら麻酔のせいで「理性」というものがふっとんでいたようです。(ということにしておいてください) その昔、1度泥酔して号泣してしまったことがあるのですが、こういうのはタガが外れたとでもいうのでしょうか人間って普段はすごく理性でコントロールして生きてるのだと実感いたしました。

一方、助手のような女性が「これで終わりよね?」とG先生に尋ねています。すると「いや。まだ左側が終わってない。」と答えるG先生。それを耳にした私は「ひ~まだ終わってないの~(泣)」とかなり気分が滅入り涙そうそうならぬ涙ボロボロ状態。

もうひとつ。実はたぶんこのあたりで、私は「抜いた歯をくれ」としつこく訴えていたのをなんとなく覚えています。ようやく通じたのか先生が血まみれになった歯を渡してくれてとても満足した気分になった記憶があるのです。意識が朦朧とした中で、英語で言っていたことにも驚きなんですが、とにかくなぜこんなことをいっていたのか分からず自分が不思議でなりません。というかなにか恥ずかしい・・・。

その後麻酔を追加してくれたみたいで、再び記憶が飛びました。左側の抜歯の記憶がまったくないのです。そして手術が終わったのか誰かが毛布をかけてくれたのは覚えているのですが、そこからまた眠りについたみたいです。

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気がつくとそばに相方が。
呼ばれた相方は診察室に入ってきて迎えにきてくれたようです。かかった時間は病院に着いた時刻から数えてトータル約2時間半ほど。

もうこのあたりの記憶は本当にかなり曖昧です。相方の話によると目覚めた私は先生から薬の説明をうけていたらしいのですが、私自身まったく記憶がないのです。その様子といえばうんうんと頷いて聞いていたらしいのですが、とにかく記憶がまったくないので「終わった後なにもアドバイスもせずG先生は不親切だ」と思っていて、実際相方に本当のことを聞くまで誤解していたほど。

さらに「血まみれの歯をもらった」はずなのに手元にないので、「おかしいなあ」と思いつつ相方に尋ねると、どうやら目覚めたあともG先生にしつこく「歯をくれ」「抜いた歯を返してくれ」と頼んでいたらしく、「衛生上の理由で渡せない」と断られていたらしいのです。さらには迎えにきた相方を見つけるなり「歯くれないんだってよ~」とぶつぶつ文句をいっていたらしいのです。これもまったく憶えていない・・・。

そして受付で1週間後にある再検査の予約をとり、帰宅の途へ。駐車場からエントランスまで車をまわしてくれた相方にありがとうと言って中に乗り込むやいなや、止血のために口の中に挟んでいた血だらけに染まったガーゼをなぜか「ベっ」と吐き出す私。「うわわ!シートが汚れるだろっ!」と激怒している相方をよそに相変わらずぼ~っとしている私は知らん顔。普段ではありえない行為。これもすべて「麻酔」のせいだと思われます。

帰宅途中にスーパーへ寄りインスタントのおかゆやポタージュ、ウイダーインゼリー、それに熱冷まシートを買ったりとして買い物を済ませる相方。もちろん私は車の中で横になって寝ていました。

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Impacted Wisdom Teeth_a0027492_205577.jpg家についてからは処方箋をうけとって買っておいた薬を飲みベッドへ直行。

薬は「Amoxicillin」というペニシリン系の抗生物質と鎮痛剤の「Hydrocodone」。このHydrocodone、アメリカでは大衆薬だけど日本では麻薬に指定されているため使用禁止らしいです。そのせいかどうかは分からないのですが、これがかなりの効き目で飲んでしばらくするとふわっとくるような眠気と軽いめまいが襲ってきました。まるで麻酔をかけたみたいです。もちろん痛みもどこかへと消えてしまいぐっすりと眠りにつくことができました。

そして16時間ぐらい爆睡していたのでしょうか。起きるとものすごい倦怠感です。喉が渇いたので水を飲もうとキッチンへ行くと冷蔵庫の扉になにやら張り紙が。

これ、相方がいろいろ調べて「抜歯後の過ごし方注意点」を紙に書き出してくれていたのでした。気が利くではないですか~。ちょっと感動。内容はというと・・・

1. ウイダーインゼリーはそのまま吸って飲まないこと!皿にうつしてスプーンで!
2. 強くうがいをしない!するならぬるま湯に塩をとかしたもので。
3. 最初は具のないスープをとったほうがいい。

の3点が簡単に殴り書きしてありました。ふむふむと読んでいると背後からいつのまにか相方が寄ってきて補足説明が。彼の説明によると特に「Suck(吸う)」行為は厳禁なんだそうです。ストローを使って吸ったりするとBlood Clot(血餅)がはがれてDry Socket(抜歯窩治癒不全)というキケンな状態になりやすくなるらしいのです。ですがこの点に関して日本で親知らずを抜いたときは言われなかったのはなぜ・・・???

ベッドに横になっていると何ともないのだけど、起き上がって歩いたりすると頭痛と吐き気で5分と立っていられない状態に。これも麻酔の合併症なのでしょう。本当にこれだけはつらい。この状態が2日間続きました。

実はこのとき15年前に経験した盲腸の手術のときを思い出しました。そういえば今回もそのときと同じ症状になったのですが、ただあのときは頭をほんの2~3センチちょっと動かしただけでゴーンと頭の中で鐘が鳴り響くようなものすごい頭痛、それに吐き気もひどく、食べられるものといったら冷たくした「イチゴ」のみ。一歩たりともベットから起き上がれない状態が1週間ほど続いてこれまたかな~りツライ思いをしたのでした。

調べてみるとこれら盲腸などの手術などで行われる「脊椎麻酔」は早い時期に座ったり立ったりすると、脊椎麻酔後頭痛といって頭痛や吐き気が起こることがあるのだそうです。そういえば「術後は早く治るために歩いたりして体を動かしたほうがいい」という何が根拠なのかよく分からない父のアドバイスにしたがって、売店で雑誌を立ち読みしたりと病院内をうろうろしていた自分。・・・素人のアドバイスは無視するべきでした(涙)。何事も術後は絶対安静ですね。

ちなみにこの盲腸の手術入院で5kg減。青春まっさかりのこの時期に太っていた私は痛みなどの苦しさと引き換えにダイエットに成功したというわけです。

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そして術後2日目にはSwelling(腫れ)がピークに。顔の形は真四角になり、もうこの世の人間とは思えない有様です。奈良の大仏か、はたまた多摩動物園のカバかと見間違えてしまうほど。想像を絶するほどの腫れようで鏡で自分の顔を見るたびに本当に物悲しくなります。とくに水平に埋まっていた歯があった右側の腫れが特に激しく左右アンバランスな輪郭。治らずに一生このまま腫れた顔になってしまったら・・・と考えるだけで鬱な気分が襲ってくるほど。

そんな私のブサイクな顔をみるたび、「プッ」といったようなこみあげてくる笑いがこらえられない様子のうちの相方。本当に失礼なやつです・・・。

と、同時に腫れている部分の皮膚の色が顎から首にかけて黄色く変わりました。これは内出血によるもので「血腫」というそうです。

とにかく最初のうちは体調もなかなかよくならず、あっさりとしたゼリーを中心にインスタントのポタージュを飲んだりと水分をたくさんとるように心がけました。

ですが4日目を過ぎたあたりから体力も回復。体は元気なのに食事が思うように摂れないというは本当にイライラするものですね。やがて食欲が抑えられなくなり、痛みとは別の意味でツライ思いをします。とにかく固いものが食べたい!赤身のステーキや焼き鳥などをかぶりつきたくてもうたまりませんでした。コリコリのミル貝やあわびが食べたい~と毎日イライラ。

しかしまだ口も思うように開かず、顎の痛みや違和感などもあるので食事もままならないのです。かといってウイダーインゼリーやおかゆにはもううんざり。

というわけで今回このような状況で大活躍してくれたのが、暑い夏の味の代表でもある「そうめん」。さっぱりつるつるして喉越しもよく柔らかめに茹でれば、噛まずにそのまま飲み込んでもまったくOKです。しばらくの間は毎食「そうめん」で食いつなぎ生きている状態でした。ズルズルと勢いよくすすることはできませんが麺類はほとんど噛まずに飲み込んでいる習慣があるせいか、よく噛んで食べるご飯やパンなどに比べて歯茎に当たることもなくスムーズなのです。

さらには、アボガト、フムスといった豆をすりつぶしたものを食べたり、ウニやマグロ、ハマチなどの刺身は念には念を入れて細かくたたいてから食べたりとそれはもう赤ちゃんの離乳食並み。とにかく食事のバリエーションをつけてなるべくストレスがたまらないように努力しました。

多少の違和感は残っているものの血腫とともに腫れも6日目を過ぎたあたりでなんとか収まりつつありました。



そして1週間後に検査のため、病院へ向かおうとすると・・・そこで思いもよらない事件に遭遇してしまうことに。


つづく。


The UCLA School Of Dentistry
Center For The Health Sciences
10833 Le Conte Ave
Los Angeles, CA 90095
by cabayarea | 2006-07-31 03:52 | ( ゚д゚)


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