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Daiichi
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相方→「京都の桜が見たい♡」
私→「京都の鯖寿司が喰いたい!」

こうして偶然にも2人の思惑が一致することになりまして行ってまいりましたよ春の京都へ。

いやーそれにしても日本中どころか世界中の人が京都に大集合しているのではないかと思わせるほどの混雑っぷりでした。しかも花見シーズンまっさかりで道路は大渋滞、観光地周辺は尋常ではない人の数+車。

すごいよ京都。すごいよ日本。


もちろん桜や寺院巡りもいいけれど、やっぱり忘れちゃいけないのが京都ならではの「味巡り」ということで、まずはこちら江戸中期の創業時からすっぽん一筋という「すっぽん料理 大市」へ行ってきました。


Daiichi_a0027492_7513832.jpgすっぽん料理といえば私の場合、おなじみ小学生の頃からの私の愛読書である食のうんちくバイブル「美味しんぼ」。

美味しんぼを貪るように読んでいた私を尻目に、当時のクラスメートの女子たちは「ホットロード」とかいう漫画に熱をあげておりまして。その類の青春漫画をアレコレ勧められ読んでみたのですが、おもしろさがさっぱり分からなかったのは今となってはいい思い出であります。

ちょっと話がそれましたが、その「美味しんぼ 第3巻」の中にですね「土鍋の力」というエピソードがありまして、すっぽんの出汁が長年染み込んだ土鍋に水を入れてご飯を入れるだけで美味しいすっぽん雑炊ができるというのがあるんですが、これを読んだときのインパクトといったらもう、すごかったですよ。だって鍋から出汁が、ですよ。このときの衝撃は今だに忘れることができません。


Daiichi_a0027492_93656.jpgそのエピソードで紹介されている土鍋のモデルになったのが、この「大市」で実際に使われている土鍋というわけなのです。2000度近い高温になるコークスで熱する土鍋はほとんどが割れるそうなのですが、その火力に耐えた土鍋のみが大切に扱われているんだそうで。

大人になったらいつかは食べてみたいと思い続けてきたかいがありました。


Daiichi_a0027492_9245073.jpg関西では、すっぽんは、甲羅の形から「まる」と呼ばれ、鍋は「まる鍋」、雑炊は「まる雑炊」と言われています。

そしてそのまる鍋の発祥の地がこの京都で約350年続く大市というわけです。店構えはさすが京都と思わせる代物で、表の柱に応仁の乱でできた刀傷が残っているというほどの「超」老舗でもあります。もちろんメニューは「まる鍋(23,000円/1名様)」のコースのみ。

そして、日本のすっぽんの味のスタンダードを確立したのも、天然物すっぽんの激減に対応するために浜名湖唯一の養殖家「服部中村養鼈場」を始めたのも、この店だと言われているんだそう。


Daiichi_a0027492_10354068.jpg店内はというと、古い建物なので天井が低く奥が広くなっており、私たちは、廊下を渡って4畳半くらいの個室に案内されました。さっそく部屋に給仕の女性の方が、すっぽん料理のコースを順番に運んできてくれました。



Daiichi_a0027492_9392260.jpg花冷えとはよくいったもの。

京都の春の夜はまだ肌寒く、まずは熱燗と一緒に「先付/すっぽんの肉のしぐれ煮」をいただきました。実は、これがすっぽんと初のご対面でありまして。感動的な対面と思いきや、、、
Daiichi_a0027492_9401256.jpgさすがの私も「これは亀なのね・・・むむむ」と正直ちょっぴり躊躇してしまいましたが、ようやくようやく念願かなっての初すっぽん。ここでひるんではいけないー!

恐る恐る一口食べてみると、、、「おおおお・・・意外と普通の味(笑)」 もっとすんごい強烈な風味がするのかと思ってました私。生姜を効かせて醤油であっさりと煮込んであります。



Daiichi_a0027492_9382543.jpg相方と2人で「これがすっぽんのエキスなのかあ~」と感動しながら味わっていると、ついに例の土鍋が登場です。

最初はすっぽんのスープのみ。湯のみに注いでくれます。これがまた、むちゃくちゃ熱い!でも旨い!猫舌の相方は大変そうでかなり悶絶してました。

それにしてもすっぽんのスープ激ウマ。獣肉のようながつんとした風味と魚のようなやさしい風味が混ぜ合わさったようななんとも複雑な味。和風コンソメ?といった感じでとにかく不思議な味わいです。


Daiichi_a0027492_10155095.jpgスープで体がほかほかに温まった頃、廊下からぐつぐつという音が聞こえてきましたよー。

ついにまる鍋の登場です!熱々のまる鍋を楽しむために2度に分けて出してくれます。

派手に湯気をあげて煮えたぎるお鍋の中にはいさぎよくすっぽんの肉のみ。野菜も何も入れない純粋にすっぽんOnlyの鍋です。

さばいたすっぽんの肉を、たっぷりの酒と水とわずかな醤油で煮込み、ゼラチン質を十分に溶け出させたスープを作り、最後にショウガの絞り汁をたっぷり加えるのがまる鍋の味の基本。


Daiichi_a0027492_10171486.jpgちょっぴり残念なことに、給仕の方からは供されたすっぽんの部位については特に説明もなかったので、自分たちであれこれ推理しながら楽しくいただきました。黒っぽく見える部分はたぶん肝臓の部分かな?

いやはやほんと美味しい!栗田さん風に言うならば「野趣溢れる味ね!」と言ったところでしょうか。


Daiichi_a0027492_10173031.jpgうーむやっぱり見た目はちょっとグロテスクですね。でも食べるとコラーゲンが唇にまとわりつくような感じがします。とにかくぷりぷりした独特の食感をしています。特にこのすっぽんの脂肪みたいな部分がとろりとして美味しいったらありゃしない!

全体的には、味は鶏肉のようなふぐのような感じで、食べ進むうちに、あっさりしてるんだかこってりしてるんだか何だかよく分からなくなってくる奥深~い風味。
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スープもあっさりしてるのに濃いというか胃袋がじわーっと熱くなってくるような重さがあってどっちつかずで、本当に口で言い表すのが難しいです。

すっぽんの肉は骨や関節にまとわりついていますが、口に入れるとするりと骨や関節から肉がきれいにはがれます。骨だけ見ると鶏肉というかなんだか獣肉っぽいなあ・・・。



Daiichi_a0027492_10193097.jpgあまりのおいしさに、とうとう1滴残らずスープを飲み干してしまったのですが、給仕の方は快く新しいスープで雑炊を作ってくれましたよ。

最後は「まる雑炊」で〆です。すっぽんスープで雑炊にして、お餅を入れ、黄身が濃~い鶏卵でとじたもの。
Daiichi_a0027492_10261023.jpgこれでトータル鍋3杯分のすっぽんスープを堪能したことになりますねー。

この雑炊、お餅も入っているのでとにかくすんごいお腹がいっぱいになります。ちなみに一緒についてくるお漬物が箸休めにちょうどいい感じです。
Daiichi_a0027492_10262884.jpg鍋に美味しそ~うなおこげがこんな風にできるんですが、無理に剥がそうとすると土鍋が割れてしまうのでやめてくださいと給仕の方に言われて涙目になる私。例の美味しんぼのエピソードを知っているだけにさすがに無理はできないよなあ・・・(涙)

目の前にご馳走を見せつけられながらも、おあずけをくらった犬のように我慢しなければならなかったのが辛かったー。すっぽんのカリカリおこげ食べてみたかったな。


Daiichi_a0027492_10264552.jpg水物は季節の果物ということでいちごが出てきました。グラニュー糖がまぶしてあってなんだか懐かしい。






ということで。

積年の憧れであったまる鍋なんですが、実はうちの相方は「亀を食べるなんて・・・」と行くのをかなりいやがり説得するのに必死だった私。しかし見事予想を裏切り、すっぽんの想像以上のおいしさに幸せを感じた京都の一夜でした。


すっぽん料理 大市
京都市上京区下長者町通千本西入ル六番町371
075-461-1775
by Cabayarea | 2008-05-17 11:57 | Kyoto 2008


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